デーモレオーン
デーモレオーン(古希: Δημολέων, Dēmoleōn)は、ギリシア神話の人物である。長音を省略してデモレオンとも表記される。主に、
が知られている。以下に説明する。
プリクソスの子
このデーモレオーンは、プリクソスとカルキオペーの子で、プロニオス、アウトリュコス、プロギオスと兄弟[1]。一般的にプリクソスの子は、アルゴス、メラース、プロンティス、キュティッソーロス[2][3]。
ケンタウロスの1人
このデーモレオーンは、ラピテース族の王ペイリトオスとヒッポダメイアの結婚式に出席したケンタウロスの1人。オウィディウスの『変身物語』によると、ラピテース族とケンタウロスとの間に激しい戦いが起きたとき、デーモレオーンはアテーナイ王テーセウスが同族を次々と討ち取っていくのを見て、テーセウスを殺さんとして松の古木を折り、テーセウス目掛けて投げつけた。テーセウスは後方に跳びのいてこの攻撃を躱したが、プティーアー王ペーレウスの楯持ちをしていたクラントールに当たってこれを殺した。そのためペーレウスが仇を取るべく槍を投げると、槍はデーモレオーンの肋骨を突き破って肺に達した。デーモレオーンは槍を抜き取ったが、穂先が抜けて肺に留まった。デーモレオーンは前脚を振り上げてペーレウスを踏み殺そうとしたが、ペーレウスは兜と楯で蹄を受け止めて、止めを刺した[4]。
アンテーノールの子
このデーモレオーンは、トロイアーの老臣アンテーノールとテアーノーの子供の1人で、アルケロコス、アカマース、グラウコス、ヘリカーオーン、ラーオドコス、コオーン、ポリュボス、アゲーノール、イーピダマース、ラーオダマース、エウリュマコスと兄弟。トロイア戦争で戦ったが、戦争に復帰したアキレウスに討たれた。
アキレウスはイーピティオーンに続いてデーモレオーンを討たんとした。デーモレオーンは頭を狙ったアキレウスの槍の攻撃を受け、兜ごと頭を刺し貫かれて死んだ。アキレウスはさらにヒッポダマース、トローイアの王子ポリュドーロスを討った[5]。
その他の人物
脚注
参考文献
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- オウィディウス『変身物語(下)』中村善也訳、岩波文庫(1984年)
- 『オデュッセイア/アルゴナウティカ』松平千秋・岡道男訳、講談社(1982年)
- クイントゥス『ギリシア戦記』松田治訳、講談社学術文庫(2000年)
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
- ホメロス『イリアス(下)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)