YAOKI(ヤオキ)は日本の航空宇宙企業ダイモンが開発した月面探査車(ロボット)。名前は「七転び八起き」からとられている[1]。YAOKIはアメリカの民間企業インテュイティブ・マシーンズが2024年に打ち上げる月の南極付近へのミッションIM-2によって月面へ輸送される。同社の月着陸機Nova-CにYAOKIが1台搭載され、着陸後に月面へ落下して探査を開始する。
歴史
YAOKIはロボットクリエーターの中島紳一郎によって開発され、開発は2019年4月に完了した[2]。その後伊豆大島で火山周辺の砂地を月面に見立てYAOKIが走行する様子が撮影された[1]。同年9月、月面着陸機を開発しているアメリカの民間企業アストロボティック・テクノロジー(英語版)とYAOKIの月面への輸送の契約を締結[3]。
2023年1月、ダイモンはアメリカのインテュイティブ・マシーンズ社とYAOKIを輸送する契約をしたことを発表。YAOKIは同社が2024年に打ち上げる予定のミッションIM-2に搭載される。同時に、先に契約を締結していたアストロボティックについて、YAOKIを搭載するミッションが当初予定のPeregrine Mission Oneからアストロボティックの後のミッションに変更することが発表された[4]。アストロボティックは2022年の段階ではPeregrine Mission Oneに次ぐミッションとして2024年打ち上げ予定のGriffin Mission Oneを計画している[5]。
2023年6月にはパンチ工業と連携して、さらなる軽量化や安全性の向上した新型モデルを開発するとの報道がされた[6]。
特徴
YAOKIは2輪のローバーで、転倒しても走行できるよう設計されている。搭載されたバッテリーで駆動し、月面でおおよそ6時間稼働することができる[3]。重量は500gを切り、月面車としては極めて軽量になっている[注 1]。YAOKIは運搬ポッドという容器の中に格納された状態で月着陸機に取り付けられる。運搬ポッドには三菱ケミカルのCFRPが使われている。着陸後にポッドが開かれ、YAOKIが月面に向け落下する仕組みになっている[7]。地球との通信は月着陸機を介して行われる[8]。
脚注
[脚注の使い方]
出典
- ^ a b “脱サラし月面探査車開発「NASA」の目にとまった訳”. 東洋経済 (2022年1月23日). 2022年3月11日閲覧。
- ^ 林公代 (2021年11月11日). “民間で世界初!? 千円札大の極小ローバーが、月を駆ける”. 三菱電機DSPACE. 2022年3月11日閲覧。
- ^ a b “はじめての日本製の月面探査機、間もなく月面へ スタートアップ「ダイモン」の挑戦”. 朝日新聞 (2021年8月25日). 2022年3月11日閲覧。
- ^ “月面探査車YAOKI、Intuitive Machines社の月着陸船で月の南極に送り込む契約を締結”. ダイモン (2023年1月11日). 2023年4月23日閲覧。
- ^ “MANIFEST: WHAT’S ON BOARD”. Astrobotic Technology. 2022年1月10日閲覧。
- ^ “新興ダイモンとパンチ工業、月面探査ロボットで協力”. 日本経済新聞 (2023年6月2日). 2023年6月2日閲覧。
- ^ “2021年秋、民間世界初の月面探査を実施世界最小最軽量(*) 月面探査車「YAOKI」 株式会社ダイモンと三菱ケミカル株式会社がパートナーシップ契約を締結”. ダイモン (2021年4月14日). 2022年5月5日閲覧。
- ^ 馬場吉成 (2022年4月11日). “わずか498g。日本の宇宙開発ロボットベンチャーが作った 月面探査ロボット「YAOKI」が月面を走る日”. セメダイン. 2022年5月5日閲覧。
注釈
- ^ これまでの月面車は旧ソ連のルノホート計画で重量840kg、アポロ計画で使われた有人の月面車で210kg、と数百kg台のものに限られている。
関連項目
外部リンク
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- ブルー・ムーン(英語版)
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- DSEアルファ(英語版)
- 国際月ネットワーク(英語版)
- ルナ・ミッション・ワン(英語版)
- 月軌道プラットフォームゲートウェイ
- 月周回軌道ステーション(英語版)
- MoonLITE(英語版)
- Synergy Moon(英語版)
- TeamIndus(英語版)
- UZUME
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