数学において、貴金属比(ききんぞくひ、英語: metallic ratio)とは、
- (n は自然数)
で表される比のことである。
線分比 a : b が第n貴金属比であるとは、
が成り立つことを意味する。
を貴金属数(ききんぞくすう、英語: metallic number)という。第n貴金属数 Mn は、逆数との差が自然数 n である正の実数、つまり
- (n は自然数)
で特徴付けられる。
貴金属数
貴金属数 n | 第n貴金属数 | 小数展開 | オンライン整数列大辞典 | 別名 |
0 | | 1 | | |
1 | | 1.6180339887… | A001622 | 黄金数 |
2 | | 2.4142135623… | A014176 | 白銀数 |
3 | | 3.3027756377… | A098316 | 青銅数 |
4 | | 4.2360679774… | A098317 | |
5 | | 5.1925824035… | A098318 | |
6 | | 6.1622776601… | A176398 | |
7 | | 7.1400549446… | A176439 | |
8 | | 8.1231056256… | A176458 | |
9 | | 9.1097722286… | A176522 | |
… | … |
n | |
自然数 n に対して、第 n 貴金属数は、二次方程式 x2 − nx − 1 = 0 の正の解であり、
である。
貴金属数の累乗
- 貴金属数の正の奇数乗は、常に貴金属数である。
- 貴金属数の正の偶数乗は、常に逆数との和が自然数である実数である。
連分数表示
貴金属数の連分数表示は
である。
数列の商の極限
黄金数(第1貴金属数)が、フィボナッチ数列の隣接2項の商の極限で表されるように、一般に第 n 貴金属数にも、隣接2項の商の極限となる数列が存在する。
数列 {Mk} を、漸化式
で定義すると、この一般項は、第 n 貴金属数を μ として、
で表される。このとき、この数列の隣接2項の商は、k → ∞ のときに μ に収束する。すなわち、
が成り立つ。
青銅比
青銅比(せいどうひ、英語: bronze ratio)は、
の比である。近似値は 1 : 3.303。貴金属比の一つ(第3貴金属比)。
青銅比において
は、二次方程式 x2 − 3x − 1 = 0 の正の解であり、これを青銅数(せいどうすう、英語: bronze number)という。
青銅数を連分数で表すと
となる。
関連項目