最小の非可算順序数
最小の非可算順序数(英: First uncountable ordinal)ω1の存在は、選択公理によらずに示すことができる(ハルトークス数を参照)。ω1は極限順序数で、すべての可算な順序数を含む非可算集合である。ときに Ω とも表記される。その濃度は最小の非可算基数 ℵ1 に等しい。
位相的性質
任意の順序数は、順序位相の入った位相空間と捉えることができる。位相空間 [0,ω1) および [0,ω1] は、いくつかの興味深い性質を持っている。
- [0,ω1) は点列コンパクトであるがコンパクトではない。任意の距離空間においてその二つは同値であるから、[0,ω1) は距離化不可能である。
- 可算コンパクトではあるため、 [0,ω1) はコンパクトでない可算コンパクト空間の例になっている。
- [0,ω1) は第一可算公理を満たすが可分でも第二可算的でもない。
- ω1 は[0,ω1) の極限点であるが、 [0,ω1) 内の可算な点列で ω1 に収束するものは存在しない。なぜなら、可算集合の可算和はまた可算集合になるからである。よって [0, ω1] においてω1 は可算な基本近傍系を持てず、[0, ω1] は第一可算公理を満たさない。
- ω1 から実数 への任意の連続関数 f は、ある順序数から先が定数関数になる。即ち、あると実数が存在して、 ならば となる[1]。
他にも ω1 は、長い直線やTychonoff plankといった、位相空間論における重要な反例を作り出すために用いられている。
連続体仮説
詳細は「連続体仮説」を参照
連続体仮説とは『連続濃度はω1の濃度と等しい』という命題で、19世紀にカントルによって提唱された。現在では、ZFCにおいて証明も反証もできない命題であることが知られている。この仮説との関連で、ω1 のべき集合 の構造も研究されている[2]。
関連項目
出典
参考文献
- Thomas Jech, Set Theory, 3rd millennium ed., 2003, Springer Monographs in Mathematics, Springer, ISBN 3-540-44085-2.
- Lynn Arthur Steen and J. Arthur Seebach, Jr., Counterexamples in Topology. Springer-Verlag, New York, 1978. Reprinted by Dover Publications, New York, 1995. ISBN 0-486-68735-X (Dover edition).
- 志賀浩二 『無限からの光芒―ポーランド学派の数学者たち』1988、日本評論社 ISBN 978-4535781610