双曲線 双曲線(そうきょくせん、英: hyperbola)とは、2次元ユークリッド空間 ℝ2 上で定義され、ある2点 F, F' からの距離の「差が一定」であるような曲線の総称である。
この2点 F, F' は焦点と呼ばれる。2点 F, F' を通る直線と2点 F, F' の垂直二等分線は主軸と呼ばれる。
双曲線の方程式
双曲線の標準形 標準形 | | |
漸近線 | | |
焦点 | | |
頂点 | | |
準線 | | |
離心率 | | |
双曲線は、主軸を座標軸とする直角座標系において、次の方程式により表すことができる。
(*)
この場合、焦点の座標は
![{\displaystyle F(-{\sqrt {a^{2}+b^{2}}},0)\ ,\ F'(+{\sqrt {a^{2}+b^{2}}},0)}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/f3ceca431301fc87057a7e056b7cbdc16f18e4b2)
と書ける。このとき、2焦点 F, F' から双曲線上の点 P への距離の差 |PF − PF'| は 2a となる。原点を双曲線の中心といい、2点(±a, 0) を双曲線の頂点という。
双曲線上の点 P と焦点 F との距離 PF と点 P から準線
までの距離の比は一定であり、比の値は離心率
に等しい。
また、双曲線には2つの漸近線が存在しており、漸近線の方程式は
![{\displaystyle {\frac {x}{a}}+{\frac {y}{b}}=0\ ,\ {\frac {x}{a}}-{\frac {y}{b}}=0}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/95dc614ec5ff001d3d04e57eb399ef4b0b638e0f)
である。
特に、漸近線が直交している、すなわち a = b であるとき、この双曲線を特に直角双曲線という。
反比例のグラフ xy = C も双曲線の一種である。これは、直角双曲線:x2 − y2 = 2C を原点の回りに 45° = π/4 だけ回転させた双曲線に等しい。
双曲線は、双曲線関数を用いて媒介変数表示することができる。
![{\displaystyle {\begin{cases}x=\pm a\cosh t\\y=b\sinh t\end{cases}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/614a51a49d951c41a63d42d1b75737fa17ef66fa)
また双曲線から左側の頂点 (−a, 0) を除けば有理関数を用いて媒介変数表示することもできる。
![{\displaystyle {\begin{cases}x=a{\frac {1+t^{2}}{1-t^{2}}}\\y=b{\frac {2t}{1-t^{2}}}\end{cases}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/bb6439b94cda0162706c8b7ff73df051f2a7b9bb)
ただし t ≠ ±1 とする。右側の連結成分は −1 < t < 1 に、左下の連結成分は t > 1 に、左上の連結成分は t < −1 に対応する。これは二点 (−a, 0) と (0, tb) を通る直線 ay = tb(x + a) と双曲線との交点のひとつとして得られる。
円錐曲線としての双曲線
円錐切断面の4つのタイプ (放物線、楕円、円、双曲線) 双曲線は、直円錐を直円錐の頂点を通らず、上下両方の直円錐に交わる平面で切断したときの、切断面の境界である。
離心率が e であるような円錐曲線を Ce とする。このとき、e > 1 であれば、 Ce は双曲線となる。この円錐曲線を適当に直交変換することにより、準線が x = −f , 焦点の一つが F(f, 0) となったとする。双曲線の任意の点 P(x, y) に対し、方程式
![{\displaystyle e(x-f)=\mathrm {PF} }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/d96024037bb7c84d8fdf82804c4d1b525c9dc5dd)
が成立するが、
となるから、上方程式の両辺を2乗して移項整理することにより、
![{\displaystyle x^{2}+2\left({\frac {e^{2}+1}{e^{2}-1}}\right)fx-{\frac {y^{2}}{e^{2}-1}}=-f^{2}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/f43fa13ecaf403dd619ad86854e692ffb0015f19)
さらに x に関して平方完成させることにより、
![{\displaystyle \left(x+\left({\frac {e^{2}+1}{e^{2}-1}}\right)f\right)^{2}-{\frac {y^{2}}{e^{2}-1}}=\left({\frac {2e}{e^{2}-1}}f\right)^{2}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/b3f963c2fe9e14fa3827245f1ffad702a8ca98c1)
これが、円錐曲線としての双曲線の基本形である。さらに平行移動:
, Y = y を行って適当に整理することによって、(*) の形になる。
脚注
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参考文献
- 田端毅、讃岐勝、礒田正美 著、礒田正美・Maria G. Bartolini Bussi 編 編『曲線の事典 性質・歴史・作図法』共立出版、2009年12月25日。ISBN 978-4-320-01907-2。
- 中村滋『円錐曲線 歴史とその数理』共立出版〈数学のかんどころ 7〉、2011年12月30日。ISBN 978-4-320-01987-4。
関連項目
外部リンク
- 『双曲線』 - コトバンク
- 『双曲線』 - 高校数学の美しい物語
- 双曲線の定義・標準形・焦点・漸近線、双曲線の方程式の決定
- 双曲線の知識まとめ(焦点・漸近線・方程式・媒介変数表示・接線公式)
- 双曲線の方程式
- デカルトの双曲線作図器1
- Weisstein, Eric W. "Hyperbola". mathworld.wolfram.com (英語).
典拠管理データベース: 国立図書館 ![ウィキデータを編集](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8a/OOjs_UI_icon_edit-ltr-progressive.svg/10px-OOjs_UI_icon_edit-ltr-progressive.svg.png) | |
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