カンテミール家(Cantemireşti)は、モルダヴィア出身の大貴族の家系。元来はチンギス・ハーンの血を引くとも言われるタタール貴族で、16世紀頃クリミア・ハン国からモルダヴィア公国に移住し、イスラム教からキリスト教に改宗した。
輩出した人物
- コンスタンティン・カンテミール(Constantin Cantemir, 1693年没)…1685年から1693年までモルダヴィア公を務め、宗主国オスマン帝国がオーストリア・ロシアなど周辺列強と戦争状態にある困難な時代に、モルダヴィアを平穏に保つよう務めた優れた統治者であった。
- アンティオフ・ドミトリエヴィチ・カンテミール(ロシア語表記:Антиох Дмитриевич Кантемир / Antiokh Dmitrievich Kantemir, 1708年 - 1744年)…ディミトリエの子。ロシア語で詩作した詩人で、民衆の言葉を使い叙情的な詩を作ったので、近代ロシア文学の黎明期を代表する作家のひとりとして知られる。1731年にロシアの駐イギリス大使、註フランス大使を歴任している間に父の著作『オスマン帝国の勃興と衰退』の英訳・仏訳を出版し、これを西欧に広く紹介した。カンテミール公爵家は19世紀に後継者が絶え、断絶した。
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