ウクライナの地方行政区画
ウクライナの地方行政区画(ウクライナのちほうぎょうせいくかく)は、24の州(область、オーブラスチ)、1つの自治共和国(автономна республіка、アウトノームナ・レスプーブリカ)と2つの特別市(місто зі спеціальним статусом、ミースト・ズィ・スペツィアーリヌィム・スタートゥソム)に区画されている。
また、オーブラスチはラヨン(райо́н、地区)、フロマーダ(громада、領域共同体)、ミィスト(Місто、市)、セロ(Село、村)に細分されており、さらにソビエト連邦時代の都市設計によって生み出された都市型集落(селище міського типу、セリースィツェ・ミスィコホ・ティプォ)が存在している[1]。
2015年以降、政府は地方分権を進めるため行政区画の改革を行っている(Децентралізація в Україні)。
特に2020年7月に行われたヴェルホーヴナ・ラーダ(ウクライナ最高議会、立法府)主導の立法による行政区画改革は、地方自治体の財政基盤を築き、非中央集権化(地方分権)を促すとして、大幅なラヨンの統廃合が行われた[2][3][4]。また同時に州内重要都市(ウクライナ語版、英語版)は廃止され、市町村はラヨン、そしてその下位行政区画フロマーダに属することとなった[5][注釈 1]。
ウクライナの地方行政区画
キーウ ビーラ・ ツェールクヴァ ブロヴァルィー チョルノービリ チェルニーヒウ ニージン プルィルークィ ジトーミル ノヴォフラード コーロステニ ベルディーチウ チェルカースィ スミーラ ウーマニ ポルタヴァ クレメンチューク ルブヌィー クロピヴニツキー ヴィーンヌィツャ フメリニツキー カームヤネツィ= ポジーリシクィイ テルノーピリ リウネ ルーツィク コーヴェリ リヴィウ ドロホーブィチ ストルィーイ イヴァーノ= フランキーウシク カールシュ コロムィーヤ チェルニウツィー ウージュホロド ムカーチェヴェ オデッサ イズマイール レニ ムィコラーイウ ペルヴォマイシク ヘルソン ノヴァー・ カホーウカ シンフェロポリ セヴァストポリ ヤルタ フェオドシヤ ケルチ イェウパトーリヤ ジャンコイ ドニプロ カーミヤンシケ ジョーウチ・ヴォーディ クルィヴィーイ・リーフ マールハネツィ ニーコポリ パウロフラード ザポリージャ メリトーポリ ベルジャーンシク スームィ ロームヌィ コノトプ ショーストカ ハルキウ ロゾヴァ イジューム ドネツィク マリウポリ スロウヤーンシク クラマトールシク イェナーキイェヴェ ホールリウカ ルハーンシク スタロビーリシク アルチェーウシク スタハーノウ ベラルーシ ピンスク ブレスト ホメリ ポーランド ワルシャワ ルブリン プシェムィシル ロシア クルスク ベルゴロド クバーニ ノヴォチェルカッスク ロストフ・ ナ・ドヌ クラスノダール ノヴォロシースク ルーマニア ヤシ ガラツィ ブライラ コンスタンツァ ブルガリア ヴァルナ モルドバ バルツィ キシナウ ハンガリー スロバキア 黒 海 アゾフ海 |
No. | 地域 | 面積 (km²) | 人口 (2014年3月1日) | 行政首都 | 地区 | 市 | |
州 | |||||||
1 | ヴィーンヌィツャ州 | 26,513 | 1,617,424 | ヴィーンヌィツャ | 27 | 6 | |
2 | ヴォルィーニ州 | 20,144 | 1,041,375 | ルーツィク | 16 | 4 | |
3 | ドニプロペトロウシク州 | 31,974 | 3,290,786 | ドニプロ | 22 | 13 | |
4 | ドネツィク州 | 26,517 | 4,340,862 | ドネツィク | 18 | 28 | |
5 | ジトーミル州 | 29,832 | 1,261,798 | ジトーミル | 23 | 5 | |
6 | ザカルパッチャ州 | 12,777 | 1,256,958 | ウージュホロド | 13 | 5 | |
7 | ザポリージャ州 | 27,180 | 1,775,154 | ザポリージャ | 20 | 5 | |
8 | イヴァーノ=フランキーウシク州 | 13,928 | 1,381,935 | イヴァーノ=フランキーウシク | 14 | 5 | |
9 | キーウ州 | 28,131 | 1,725,470 | キーウ(キエフ) | 25 | 12 | |
10 | キロヴォフラード州 | 24,588 | 986,830 | キロヴォフラード | 21 | 4 | |
11 | ルハーンシク州 | 26,684 | 2,237,897 | ルハーンシク | 18 | 4 | |
12 | リヴィウ州 | 21,833 | 2,537,806 | リヴィウ | 20 | 9 | |
13 | ムィコラーイウ州 | 24,598 | 1,167,821 | ムィコラーイウ | 19 | 5 | |
14 | オデッサ州 | 33,310 | 2,395,935 | オデーサ(オデッサ) | 26 | 7 | |
15 | ポルタヴァ州 | 28,748 | 1,457,223 | ポルタヴァ | 25 | 5 | |
16 | リウネ州 | 20,047 | 1,159,114 | リウネ | 16 | 4 | |
17 | スームィ州 | 23,834 | 1,131,903 | スームィ | 18 | 7 | |
18 | テルノーピリ州 | 13,823 | 1,072,793 | テルノーピリ | 17 | 1 | |
19 | ハルキウ州 | 31,415 | 1,451,461 | ハルキウ | 27 | 7 | |
20 | ヘルソン州 | 28,461 | 1,072,013 | ヘルソン | 18 | 3 | |
21 | フメリニツキー州 | 20,645 | 1,306,396 | フメリニツキー | 20 | 6 | |
22 | チェルカースィ州 | 20,900 | 1,259,240 | チェルカースィ | 20 | 6 | |
23 | チェルニウツィー州 | 8,097 | 908,540 | チェルニウツィー | 11 | 2 | |
24 | チェルニーヒウ州 | 31,865 | 1,065,826 | チェルニーヒウ | 22 | 3 | |
自治共和国 | |||||||
1 | クリミア | 26,081 | 1,966,801 | シンフェロポリ | 14 | 11 | |
特別市 | |||||||
1 | キーウ | 839 | 2,869,361 | キーウ(キエフ) | 10 | — | |
2 | セヴァストポリ | 864 | 385,870 | セヴァストポリ | 4 | — | |
合計 | 603,628 | 46,678,694 | キーウ | 490 | 176 |
主要都市
2014年
2014年、ウクライナ騒乱が発生した。その騒乱の最中の3月17日、クリミア半島に位置するクリミア自治共和国とセヴァストポリ特別市は住民投票を実施した上で、独立宣言を行った。隣国ロシア連邦はこれを承認し、翌日の3月18日に、自国に編入した。(クリミア自治共和国はクリミア共和国、セヴァストポリ特別市はセヴァストポリ連邦市として現在もロシア連邦に組み込まれている。)
また、ロシア系住民が多いウクライナ東部(ドネツィク州、ハルキウ州、ルハーンシク州辺り)でも、ロシア系住民が州庁を占拠、ドネツク人民共和国やハリコフ人民共和国、ルガンスク人民共和国[注釈 2]の建国を宣言した。このうちハリコフ人民共和国は建国宣言の翌日にウクライナ側によって鎮圧されたが、現在、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国はドネツィク州・ルハーンシク州の大半を支配下に置き、5月14日にノヴォロシア人民共和国連邦の建国を宣言。ウクライナ軍と衝突している。
今回の一連の事件では、ロシアとウクライナの対立が表面化し、ロシア系住民が多い地域の治安悪化などにも繋がる結果ともなった。なお、ロシアのクリミア編入や、東部での建国宣言は、ウクライナ政府や欧米など国際社会において認められていない。
ラヨン
州の下位区分として136つのラヨン(訳語は郡または地区)が設置されている。2020年7月17日、ヴェルホーヴナ・ラーダ(ウクライナ最高議会)はラヨン再編案を可決し、従来の490つのラヨンは統合・廃止された[4]。
136の新ラヨンのうち、2020年7月時点でドネツィク州の3ラヨンとルハンシク州の4ラヨンは一時的に親露分離派に実権支配を受けている地域に属しており、更に10ラヨンがロシアに占領されているクリミア自治共和国に属している[4]。
また、ラヨンと同等の州内重要都市(ウクライナ語版)が187つ(2018年時点)[7]存在したが、2020年の再編の際に廃止された[8]。
関連項目
- ISO 3166-2:UA
- ポショーロク
- 一時的占領地域
- ウクライナの一時的占領地域における市民の権利と自由および法制度の確保についての法律(ウクライナ語版、ロシア語版)
- ドネツク州とルガンスク州の一時的占領地域に対するウクライナの国家主権を確保するための法律(ウクライナ語版)
脚注
注釈
出典
- ^ “Те, чого ніколи не було в Україні: Уряд затвердив адмінтерустрій базового рівня, що забезпечить повсюдність місцевого самоврядування”. decentralization.gov.ua (2020年7月17日). 2022年5月21日閲覧。
- ^ “Районні ради: на роздоріжжі правового регулювання” (ウクライナ語). Мережа UPLAN. 2022年5月21日閲覧。
- ^ “Decentralization” (英語). uareforms.org. 2022年5月21日閲覧。
- ^ a b c “Україна з новим адмінтерустроєм: парламент створив 136 нових районів та ліквідував 490 старих”. ウクライナ地方分権化情報ポータル (2020年7月17日). 2021年1月28日閲覧。
- ^ “чи залишаються міста обласного значення чи будуть також реорганізовані (ліквідовані) та створені нові райони”. decentralization.gov.ua. 2022年5月27日閲覧。
- ^ “Lugansk People’s Republic legislature adopts Russian as the only official language”. tass.com. タス通信 (2020年6月3日). 2022年5月21日閲覧。
- ^ “Міста обласного значення Львівщини: хто стане першою ОТГ?”. decentralization.gov.ua (2018年6月26日). 2022年5月21日閲覧。
- ^ “Про утворення та ліквідацію районів” (ウクライナ語). www.golos.com.ua (2020年7月18日). 2022年5月21日閲覧。
外部リンク
- (ウクライナ語) 最高議会のサイト:ウクライナの地方行政区画
- (英語) ウクライナの都市と州の案内
- (英語) 地区のリスト - 州のリスト
ウクライナの地方行政区画 | |
---|---|
州 | |
自治共和国 |
|
特別市 | |
|
ウクライナの歴史的地域 | |
---|---|
地域 |
ヨーロッパの第一級行政区画 | |
---|---|
西ヨーロッパ | |
東ヨーロッパ | |
中央ヨーロッパ | |
南ヨーロッパ | |
北欧諸国 | |
バルト三国 | |
その他 |
|
英王室属領 | |
関連項目 |
|
各列内は五十音順。バチカンは国際連合非加盟。「その他」は国家の承認を得る国が少ない、または無い国であり、国際連合非加盟。国家承認を得た国連非加盟の国と地域の一覧も参照。 |